映画「ベルサイユのばら」見てきました

同時に「ガンダム」も見てきたんですが、まあそっちはさんざネタバレされているのでw
今さら知ったんですが、両者最初のアニメ放映は1979年だということ。もうそんなになるか……どちらも漫画アニメを語るうえで避けることのできない金字塔ですね。ベルばらもガンダムも見たことも聞いたこともない、という日本人はもはや少数派なのでは?

そしてどちらも、リアルタイムで経験してきているわたくし。
幸運だなあと思うんですよね。だって、文字通り漫画・アニメの黄金時代を生きてきたわけですから。これらを初めて目にしたときの衝撃というのは、若い方には想像できないでしょうねえ。



まあ今回はベルばらのことですけど、2025年のアニメ映画「ベルサイユのばら」は、なんと半ミュージカルでした。10曲以上、劇中に挿入される。
漫画が原作、とも言えるが宝塚の舞台が原作とも言える。
宝塚版の影響は音楽や歌だけじゃなく、ストーリーにも強く出ています。特にエンディングにそれを強く感じた。

「半」ミュージカルなのは、登場人物が突然歌い出す、というシーンがないこと。
あらすじや心情を説明するような目的で、PVみたいなきらびやかな映像とともに、声優さんが歌う歌が流れる。それもかなりいい曲なんですよ。現代的でなおかつロマンチックな曲なんです。ミュージカルっぽい、セリフをそのまま歌っている感じじゃなく、単体の曲としていい。
正直言うと、僕はミュージカルが苦手です。名作と言われるミュージカルであっても、あまり楽しめない。それは先に書いた、登場人物が突然歌い出す、ってのが非常に苦手だからです。だがこのベルばら映画はそれがない。だから僕もとても楽しめた。



ベルばらのストーリーを知らない、って人はあまりいないでしょうが……とにかく、画面が豪華絢爛、目がチカチカするくらい鮮やかな色彩、CGなくして実現できない精細な背景。舞台では再現不可能ですし、79年のTVアニメ版ではとうていできなかったことをみなやっている。
当然、TVアニメで40話、漫画で10巻分を2時間でやっているのでめちゃくちゃダイジェストなんですが、初見にも優しい、わかりやすい作りで、見せ場はしっかり見せ、よいダイジェストだったと言えるでしょう。アントワネットがらみのサブエピソードはほぼ全カット、オスカルに焦点を絞った構成になっている。

興味深かったのが、客層ですね。もうすでに3回劇場で見ているんですが、客層はわりと一定している。入りも土日は7割以上埋まっている。最近見た回なんて、満席売り切れでした。
原作が50年前ですから、70代80代のお客さんも多い。そしてベルばら初見と思われる若い20代のお客さんも3割くらいいる。
一回目のとき、満席近い客席の、僕のとなりには初見らしき若い女性グループ。終わったときに「ベルばらってこういう話だったんだあ、面白かったね」と言ってたのが印象に残りました。そして一緒に見に行った奥さんが帰り道、早口でオスカル愛をまくしたてていたのもすごかったなw




劇場版見た勢いのまま、録画のTV版を見て、漫画は書籍で持っていたのがもう劣化して黄色いので、Kindleで全部買い直して読み直した。ついでに宝塚も20年以上前に一回見た。あまりに昔で、誰が主役だったか覚えてないのだが……
そして、各々の相違が記憶以上に大きくて、あらためて驚いているところです。
このあとは、老害による老害ネタです。TVアニメと劇場版、原作漫画の感想が入り混じりますので失礼します。

声優さんは、僕はTV版がベスト、至高だと思っています。それは今も変わらない。田島令子さん以外、オスカルは考えられない。今回の劇場版、見始めて30分くらいオスカルの声に馴染めず困ったが……そこはやはり沢城みゆきさん、徐々に馴染んて違和感が消えていった。
が!沢城みゆきさんの芝居に文句はないし、歌もうまいしでこの映画にはベストマッチですが、やっぱり田島令子さんの艶のある、しっとりした声がオスカルには一番合ってる。音声収録が3年も前だったと知り、今になって亡き田中敦子さんでも良かったんじゃない?とふと思ったんですけど、ちょっとセクシーすぎるかな?
一方映画のアントワネットの声は平野綾さんでしたが、歌声と年齢による声の変化が素晴らしかったな。こちらは最初から馴染んでしまいました。

TV版で特に好きなのはポリニャック夫人の武藤礼子さん、デュ・バリー夫人の来宮良子さん、ジャンヌの松金よね子さん、ジャルジェ将軍の内海賢二さん。
すっかり故人が増えてしまいましたが……どれも本当に素晴らしい声と芝居で、忘れることができません。どのキャラにもしっかり演技の「見せ場」が用意されていて、存分に芝居をしているのが印象的だった。
特に武藤礼子さんは僕が一番好きな女性声優なので、がっちり長台詞しゃべってくれたのは良かったなあ。もちろん、「出崎組」常連の飯塚昭三さんや緒方賢一さんらは兼役ばっかりなんですけど、しっかり存在感があった。内海賢二さんのジャルジェ将軍は、原作とは一味違うキャラクターに化けていたな
余談ではありますが、ナレーションをぼくはずっと小原乃梨子さんだと思ってたんですよ。そしたら違ってたw本山可久子さんでした。




Kindleで漫画読みながらTVアニメを見る、という割と初めて?の試みをしていたのですが。
こんなにじっくり両者比較しながら鑑賞というのは面白かった。本当に、かなり相違があるんですなあ。記憶をはるかに超える違いだった。

原作漫画は、連載当初はマリー・アントワネット主役だったんでしょうな。アンドレなんか背景あつかいだった。後半はアンドレとオスカルの関係が柱となって進み、あくまでも恋愛主体の物語で、革命は背景で動いている感があった。
ですがTVアニメは最初からアンドレとオスカルが主軸。そして後半に進むと、もうシリアスで深刻で……恋愛話がはさまる余裕がない。ギリギリした緊張感が続き、正直見るのがしんどい。最近の呑気なアニメを見慣れてると、この深刻さはきついくらいです。

異論はあるかもしれませんが、ポリニャック伯夫人と首飾り事件のエピソードは、TVアニメ版は原作を大きく超えていると思う。脚本もだが、声優の芝居の良さも光る。デュ・バリー夫人の去り際もかっこよかった。

出崎アニメ共通なのは、原作よりも「漢(おとこ)らしさ5割増し」ってことでしょうなあ。
原作漫画、そして今回の劇場アニメともに、男女両方よく泣くんですが、TVアニメ版は主要キャラはあまり涙を流さない。漢だから。
ここぞ、というところで風に涙が流されながら泣く、ってのがTV版です。泣くにしても、シクシクと泣くのではなく、カッと目を見開いて、正面向いて泣くんです。
シクシク泣くのはTV版ではロザリーくらいかなあ。アンドレもフェルゼンもまったくメソメソうじうじしない。漢だから。
「男ならば死ねい」みたいな人生観の持ち主で、アニメ版ベルばらの男性陣は、男塾を卒業しているとおもわれる。

アランやジャンヌはもちろんのこと、サブキャラ、ちょい出のキャラまで、あますところなく漢らしい。ちょっとした通行人が、飯塚昭三声でしゃべるからなあ。
衛兵隊の副官、ダグー大佐は原作ではフェードアウトしてしまいますが、アニメ版では実に漢らしく去る。彼の去り際は印象的でした。



特にTVアニメ版ベルばらの男装の麗人オスカル様は、原作に比べ漢らしさ100%増しになっている。
「イヤーッ」とか叫ばないし、押し倒されたくらいで泣かない。酒場で飲んだくれるし、人を殴るときはこぶしが飛んでくる。
オスカル様まで、こぶしで殴り合って語るのがTV版ですな。記憶以上に、美しい顔をぶん殴られていた。

ちょっと驚いたのが、TV版のセリフの繊細さです。
原作オスカルは「アンドレ、この戦闘が終わったら結婚式だ」と一言言い残しますが、TV版はもっと細かく長く言う。
「アンドレ、式を上げて欲しい。この戦いが終わったら私を連れて地方へ行って、どこか田舎の小さな教会を見つけて、そして結婚式を上げて欲しい。そして神の前で私を妻にすると誓って欲しい」
監督のオスカル愛を感じる改変です。これを「オスカル様が男に受け身になっている」とも取れましょうが、オスカル様のこの要望をことわれる人間ているのか?全人類にとって、ほぼ強制ではないか。

ちょっと気がついたのが、原作ではオスカルの外見を、美しさを周囲の人間が言葉を極めて褒めそやします。オリンポスの神々と並ぶのがふさわしい、くらい人間離れした美貌であることを何度も強調してくる。
が、TV版はオスカルが美しい、ということをほぼ言わないのです。アンドレですら、オスカルの外見を褒めるシーンがない。
それくらい言わんでもわかるだろ、ってことなのか、TV版オスカルは絶世というほど美人じゃない設定なのだろうか?でも「女装」シーンでは褒めてるしな……自明のことはあえて言葉にしないのだろう。




原作漫画は、池田先生の理想や苦悩だったり、サービス精神だったり、バランス感覚だったりがきめ細かく行き渡り、アンドレのポエムを始めとして細かい心情描写が多く、またスピード感のある展開で、根強い人気があるのがよくわかります。また、外伝やエピソード編でのアフターサービスも充実している。
いっぽうTVアニメ版は、監督の「俺のオスカル」物語で、全体にわたって再解釈されている上、貴族の苦しみ、庶民の苦しみをオブラートに包むことなくダイレクトに表現している。シャルロットの自殺、首飾り事件の身代わり娼婦、衛兵隊のゴツい荒くれ男ども、女性作者だったら目を背けるような部分をガチッと力を入れて描写してるのが印象に残る。

現在は原作改変は悪、という風潮が強い。
おそらくベルばらもアニメ版は許せん、という原作ファンはある程度いると思われる。
だが、一方で名作という評価も定まっているのは、やはり出崎監督のオスカル愛がほとばしっているからではないでしょうか。原作とキャラクターを愛している気持ちが伝わってくるから、「こういうのもあり」とみなされている気がする。
ベルばらファンはだれもが心のなかに「わたしのオスカル」を持っており、そのイメージに近い方を好むのじゃないかな。僕はどうかといえば……田島令子さんの声で原作のセリフを言って欲しい気持ちもあり……やっぱり両方好きですねえ。

by punto1150 | 2025-02-18 19:05 | 日記 | Comments(0)

Vストローム800DEとランドローバーディフェンダーで遊びに行く日記帳です。


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