東北北陸雪道ドライブツーリング その2

秋田・青森県境の山中。
真っ暗になり、すごい勢いで雪が降り積もり、猛烈な風が吹く。
吹雪です。

以下、修羅場のために画像なしです。
人間、本当に必死になると写真なんて撮ってるひまないんですよ……



夜間、吹雪のさなか、人気のない山間部を通過する。
緊張する。
平地ではあれだけ交通量が多く、車が絶えなかったのに、この国道105号線はほとんど車がいない。道は真っ暗です。

夜8時、田沢湖を過ぎ、もうすぐ就寝予定の阿仁村だ。あと15分も走れば寝られる。
そう思ったころ……
国道の路面にわだちがとぎれたのです!


足首まで埋まる新雪路面にわだちがない。正確に言えば、うっすらとわだちの跡が見える程度。何時間か前までははっきりわだちがあったのでしょうが、ドカ雪で埋まってしまったのでしょう。
迷ったものの、ゆるい上り坂に思い切って突っ込んだ。

車が止まりました!
リアタイヤが回らない。トラクションコントロールが効いて空転を防いでいるので、回らないということはグリップがゼロということです。

バックしては前進、を数回繰り返しましたが、ダメです。まったく進まない。




そうだ。こういうこともあろうかとチェーンを積んであったのだ。
この程度ならばチェーンをつければ行ける。
道の真中でチェーンつけ始めるわけにはいかず、バックして道幅に余裕が有るところまで下がろう。道幅にUターンできる余裕はない。そんなことしたら雪にはまる。

が、これが大変だった。
真っ暗な山道ってだけでもバックは難しいのに、雪でしかも猛吹雪。
止まっていた数分の間に窓は真っ白リアビューカメラの画面も真っ白
窓を開けて後ろを見ても真っ白なだけで、自分の付けたわだちが見えるだけ。

猛吹雪のなか窓を開けて後ろを見つつ、自分のわだちをたどりながら、ノロノロと下がっていく。顔面に雪が打ち付ける。




100mほどを10分近くかけて下がってきて、やっとこ道幅に余裕が有るところまで戻った。
エンジンを止め、チェーン装着準備を始める。が、外の気温はマイナス7度、暴風雪が吹き、タイヤが半分雪に埋まっている。

準備万端。
こんなこともあろうかとチェーンだけじゃなく、スコップもライトも、ナイロンのスキー用手袋も用意してありました。
まず登山用小型スコップでタイヤの周りの雪をどける。

チェーンは金属製亀甲型なので、いったん広げる必要がある。
なのでそのスペースも雪かきする。

いやー、このチェーン、買ったのは7,8年前なんですが、買った直後に一回だけ装着練習して、それっきりしまいっぱなしでした。
装着方法なんてすっかり忘れてるし、ケースの中でチェーンがからまって、それを解きほぐすのに一手間二手間。ライトの明かりだけが頼りです。

雪かきしたスペースにチェーンを広げ、説明書も広げたけど、猛吹雪で紙が飛ばされそう。説明書に重しのかわりにチェーンの入っていたケースを乗せる。
説明書を読もうとしても、あっという間に雪に埋もれていき、なかなか読めない。
広げたばかりのチェーンも雪で見えなくなっていく。

さてチェーンをタイヤにはめようと見ると、なんとタイヤハウスの内側に雪と氷がびっしりはりつき、手が入らない。
スノーブラシでぶったたいて氷を落とす。

ものすごく寒いはずなのですが、必死に働いて寒さを感じない。
チェーンを取り付けようと四苦八苦しているのですが、分厚い手袋のために手元がわからず、はかどりません。
やむを得ず手袋を外して素手でチェーンをつけはじめたら、あっという間に手の感覚がなくなった。もう死にそうです。

苦闘30分、やっと両輪にチェーンを取り付け終わった。
指と顔の感覚がなく、エンジンをかけてしばらく温めます。




ようやく前進開始。
ふたたび先ほどスタックした地点に突っ込んだのですが、あれ?またタイヤが動かなくなった。

どうやら、トラクションコントロールが邪魔してるようです。
チェーンというものは空転することで雪に食い込み、グリップを得るもの。タイヤの空転を完全に防いでしまうDSCはオフにして、(BMWに限定ですが)DTCを動作させないといけないのです。

DSC=ダイナミックスタビリティコントロール。タイヤの空転、スリップを完全に防ごうというシステムは、チェーンを装着すると邪魔になる。
DTC=ダイナミックトラクションコントロールは、悪路脱出を目的とし、タイヤチェーンと相性がいい。実に生き生きと走った。
後輪のグリップは最高です。グイグイ雪に食い込んで進んでいく。
20センチくらいの積雪などものともしない。

が? なんだかおかしくなってきたぞ?
後輪の片方だけしかグリップしなくなった。車体が斜めに進んでいく。
とはいえ、片輪だけでもグイグイ進んでいきますな。




本日のゴール予定だった、道の駅あにに着いたのが9時半。
しかし。
道の駅の駐車場だというのに、まったくわだちがない。新雪が数十センチ積もっている。他の車も一台もいないし、この数時間、車が出入りした形跡すらない。

その上、車の外に出て気がついた。
左のタイヤチェーンが無くなっている。

どうやら装着が不完全だったらしく、途中で取れてしまったようです……
片方だけグリップしてたわけだ。
あの状況では作業が不完全になりがちです。一瞬取りに引き返そうかと思ったけど、もう雪に埋まってるだろうな。

もしこの状態でこの場で車中泊したとしたら……
積雪で動けなくなるかもしれない。
チェーンが片方だけの状況でこれはまずい。

眠く、疲れていますが、あとしばらく走る決断をしました。
すこしでも標高が低い方へ行こう。
もう路面も圧雪路、チェーンは不要です。片方だけになったチェーン、取り外してしまいました。




11時前、道の駅かにこあにに到着。
雪も浅く、他の車もいる。一安心しました。
d0161702_17535996.jpg
猛吹雪のなか、真っ暗な場所でタイヤチェーンを装着するという地獄。
なにごとも落ち着いて対処すれば乗り越えられるものです。
といってもチェーン片方なくしたんですがね。
帰ったら新しいの買わなくちゃなあ。

この日の走行距離は、755km。19時間も運転していました。
お陰でぐっすりですよ。
つづく。


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Commented by g7tkm at 2018-01-02 18:32 x
雪道の脱出なら布製のチェーンというかソックスみたいなのが安くてオススメではないかと思います。
僕は保険でトランクに積んでありますが軽くて装着が何より簡単です。
Commented by ganmodoki at 2018-01-02 18:34 x
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

東北の夜の雪道での修羅場、考えたくありませんね〜
九州と東北じゃ比較にならんでしょうけど、以前雪山で四苦八苦した記憶があるので...

ところで、チェーン差し上げましょうか?
車を換える予定なので、チェーンが合わずにどうしようかと思っていたところです。
オクに出しても二束三文なのでもし良かったら使って下さい。
FECのスーパーバイテックB-11です、おそらく合うと思います。
Commented by shimiy at 2018-01-02 19:13 x
なかなか無茶しますねー(笑)

タイヤハウスの雪落としですが、僕は小型のバールを運転席マット下に入れっぱなしにして使ってます
バールなら多少凍っても落とせるし、万が一の脱出時にガラスも割れるし、その他も出先で色々役立ってます
ただ、警察に職質されたとき「なんですか、これ?」ってならないか心配ですけど...
Commented by punto1150 at 2018-01-03 06:58
g7tkmさん
布製チェーンはコンパクトですし、考えたんですよ。でも、以前雑誌のテストか何かで雪道なら金属亀甲型が最強、みたいな事が書いてあって、「買うなら亀甲型だなあ」と思ってたんです。

実はチェーンを履いて雪道を走る経験がこれで生涯三回目くらいでして、それまでは用意してあっても使わなかったんですねえ。
チェーンなんて持ってても使わないんじゃないかって思っていましたが、やっぱり持ってて良かったですよ。
Commented by punto1150 at 2018-01-03 07:04
ganmodokiさん
明けましておめでとうございます。
九州でも雪が降る、ってことは免許取って最初のロングツーリングで九州に初上陸したときに知ったんです。
2月末でしたが、博多に上陸したときは小雪、南下して由布院へ着いたときにはけっこうな勢いで雪が降ってて、びっくりしましたよ。関東の人間にとっては九州=南国のイメージが強くてね。

チェーンが余っているお話、ちょっと前までなら飛びついていたんですが……実は昨日、もう注文してしまったんです。今日に到着予定でして……惜しかった。
お気遣いありがとうございます。
Commented by punto1150 at 2018-01-03 07:07
shimiyさん
なるほど、金属製のバールならサクサク落とせそうですね。僕は現場でプラ製のヘラで雪落とししたんですが、雪ならともかく凍ってしまうとなかなか進まなくてねえ。

でもおっしゃるとおり、金属バール車に積んでいたら、警察に言い訳が難しいですねえw
バールじゃなくて金属のヘラみたいなのがあれば良いのだけど。
Commented by Kachi at 2018-01-03 13:43 x
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

しかし、ヘタすりゃそうなんてシチュエーションですね(^^;)
描写がリアルだから思わずイッキ読みしちゃいました(^^;)
こういうときは四駆でも危ないかもしれませんね。
なにより地元の車でも来ている車がなかったってのが危なさを物語っている気がしました。
お子様もいらっしゃることですし、あまりご無理をなさらないように。

といいつつ、私もこの手のアドベンチャーは大好きですけどね(笑)

Kachi//
Commented by punto1150 at 2018-01-03 18:18
Kachiさん
何度かUターン、という言葉が浮かびましたが、装備がきちんと整っていたので大丈夫でした。

僕の雪道走行経験から言うと、駆動方式はあまり関係がないのではないか?と感じています。デフロックできるような本格クロスカントリーは別として、4WDの乗用車ならFRと大差ないです。要はタイヤのグリップ力ですね。
by punto1150 | 2018-01-02 17:59 | ツーリング・旅行 | Trackback | Comments(8)

BMW R1150GSとBMW 320dで遊びに行く日記帳です


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