アメリカン・スナイパー見てきました
2015年 02月 22日
感想は… イーストウッド監督の映画だなあ… と。
イーストウッド節とでもいうか、あの鑑賞後の虚脱感というか、全身の力が抜けるような、とにかく虚しさがすごいのは覚悟していました。
案の定、そういう映画でした。
ベトナム戦争後に生まれた、敗北を知らない保守的なアメリカ人が主人公だという点では、「ローン・サバイバー」とかと同じで、テキサス州出身という点でも共通です。
タフで、マッチョで、熱烈な愛国者で、信心深い両親に育てられ、危険を愛し、命知らずで、がんこでゆるぎない信念を持っている。
理想的兵士です。
たぶん機動戦士ガンダムのアムロ・レイの影響が大きいと思うんですけど、日本の創作物に登場するエースもしくは英雄的兵士って、迷い、ためらい、悩む人が圧倒的に多いですよね。
撃っていいのか、自分のやってることが正しいのか、苦しみながら生きていく風の。そのほうが一般的な、悩み多き人々には共感しやすい。
ところが実際の英雄的兵士の自伝・伝記を読んでると、そういう要素が全くないんですよ。
H・U・ルーデルや坂井三郎、岩本徹三といった飛行機乗り、先日亡くなられたオットー・カリウスや、狙撃手のヨーゼフ・アラーベルガー、カルロス・ハスコック、シモ・ヘイヘなどの陸の兵士たちも。
自分のやっていることに迷いがなく、ためらいなく敵を撃ち、後悔がない。
文字通り、鋼鉄の信念を持った、鉄のような男たちです。
この映画の主人公もそうした種類の男で、その種の人間が好きじゃない人には全く感情移入できないとおもう。
普通の仕事で普通に働いてる分には、きっと付き合いにくい人かもしれない。
傲慢で自信家で遠慮がない。平気で人の頭をどやしつけるタイプです。
ただ僕が戦場にいたら、隣にいて欲しいのはこういう人でしょうね。撃つべきかどうか悩んでる人が隣だったら嫌です。
そんなタフ・ガイが苦しむのはむしろ戦場以外の場所であって、平和な住宅地の芝刈り機の音、カー用品店のエアインパクトレンチの音ではっと身構えてしまう。
殺した敵のことは気にしないが、救えなかった味方のことを思い、復讐を遂げるまで戦場へ行きつづけ、結果として心身をすり減らす。どれほどの鉄の心身をもってしても、戦場ですり減っていってしまうんです。
(鉄でできていない普通の人々は、もっと早く消耗してしまいますが)
兵士を引退してからの人生のほうがむしろ苦しみが大きいというのはとても皮肉でした。
ものすごく淡々とした、盛り上がりも盛り下がりもない、良い意味で単調な映画。戦争を賛美せず、かといって否定もせず。むしろそこがリアルさにこだわるイーストウッド監督らしさなんでしょうね。

