9時に手術開始、10時半には終わった。
11時には意識もはっきりした。
でも、家族は帰ってしまい、iPhoneも手元にない。
意識が戻ると同時に、切ったところ=体の中と外両方が痛みだした。
気管にチューブを入れられていたので、喉もガラガラする。たんが出る。口の中にも傷がある。
腕が動くようになったので布団をめくって自分の腹を見てみると、ヘソのすぐ下、みぞおち、右脇腹に二ヶ所、計4ヶ所テープが貼られて血が滲んでいた。
傷はそれぞれ2~3センチくらいでしょう。
元胆嚢があったとおぼしき場所も痛い。
今まで鈍痛があった場所が、痛みの質が変わって、ズキズキ痛いのです。
と言っても、我慢できないほどの痛みじゃない。
痛みの程度は?と聞かれると、カッターで指先切ったくらいの痛み。
時間とともに小さくなってくる痛みです。
傷が痛いのもややつらかったですが、時間はいつの間にか12時を過ぎ、強烈な空腹感が襲ってきた。
腹減った、腹減ったと口の中でつぶやきます。
看護婦さんは2時間おきくらいにやってきて、血圧、心拍数などを測っていきます。
水飲みたいと訴えましたが、だめでした。
点滴を受けているので、水分と栄養は補充されているのですが、喉がいがらっぽいのです。そして空腹。
これから延々、ベッドの上で悶々としていました。
横になっているので眠りそうになるのですが、眠れない。
なぜかというと、周りがうるさいんですわ……
となりには甘えん坊のガキンチョがママにあまえて騒いでるし、その上空腹の僕の隣でケンタッキーフライドチキンを食いだしたのが許せん。その上ママがいなくなると携帯ゲーム機までやりだして、さすがに看護婦さんに怒られていた。最近のガキはしつけがなっちょらん。
その反対側には僕のあとに同じ胆嚢の手術をしたおじさんがうーうー唸ってるしねえ。傷が痛いからといって、なんども看護婦さんを呼ぶ。
僕と同じ手術なんだから、痛い痛い言うな!と思いましたよ。
僕は男らしく、看護婦なんか呼ばずにじっと耐える。心頭滅却すれば火もまた涼し。
だがこのベッド、柔らかくて腰が沈む。同じ姿勢で寝てると腰が痛くなってきたので、体をよじる。
すると傷が痛む。
心頭滅却してるはずなのだが、痛いもんは痛い。
……時間が経つのが遅い……
この感覚は、おそらく長距離深夜バスに乗ってる感じに近いのかな?
景色が変わらない、狭い空間で他人にかこまれて、同じ姿勢でじっとしているしかない苦痛。寝たいのに寝れない。
水曜どうでしょうの高速バスの旅です。あのつらさを実感した。
午後3時頃になってようやく、立って歩いてトイレに行けるようになった。
本当は1時頃には歩ける感じでしたが、靴が行方不明でね。
布団の下に入っていたのを見つけるのに時間がかかった。
ついでにiPhoneをロッカーからとってきて、このブログに投稿、職場や家族、友人にもLineで知らせる。
TVをいじくりまわし、番組が見られるようになった。午後のロードショーの「沈黙の傭兵」を見てました。
ベッドが電動で姿勢が変えられるのに気が付き、背中を起こしてだいぶ楽になる。
まもなく、水を飲むのが許されて、痛み止めと胃薬を飲みました。
薬を飲んで1時間くらいすると切ったところの痛みはだいぶなくなった。
そのかわり、熱が出てきた。
手術をすると熱が出るというのは本当だったのだ。
薬のせいか、胃がムカつく。
看護婦さんの4回目の検診が終わり、帰ってよしと言われた。
4時半、めでたく退院。
この日の費用は、過去の検査料金が払い戻され、合計12万円ほどでした。
つまり、この手術にかかった全部の総費用がこの金額、ってことです。
保険のお陰でこのお金は戻ってきそうです。
また、2週間後に検診の予約が入っていた。有無を言わさず。
まもなく、弟の運転する車で帰宅しました。
車中で弟から受け取ったのが、取り出された胆石。
小豆サイズの丸い石が一個。色は黒。
胆石一個しかないやんけ! と驚きましたが、どうも硬い胆石はこれだけで、あとは固まる前の柔らかい胆石が胆嚢に詰まっていたようです。
前の記事に書いた、
「町医者での結果は「胆石がちょっとある」でしたが、総合病院では「胆石たくさん」でしたわ……」
という文章ですが、これは僕の誤解があったようです。
つまり、消化器科医院の機械には硬い胆石のみが写っていたのに対し、総合病院の機械には、固まる前の柔らかい胆石も写っていたということ。やはり機械の性能の差があった。
長かった……この日一日、長かった……
半日入院でこんなにきついのか。
性格的に、僕は入院生活がだめらしい。死ぬときはころっと自宅で死のう。
夕食は食べられるのかな?と思っていましたが、だめだと言われた。
ポカリスエットを飲め、と。
もう空腹すぎて空腹感がなくなってきました。たまに体験する現象です。
風呂もこの日は入れないし、することないのでとっとと寝てしまいました。