翌朝。
残る作業をやろう。うまくいけば午前中にエンジンをかけられる。
燃料タンクを外し、カチカチに劣化した燃料ホースを交換します。
なんと、タンクを外すときにちょっと曲げたらホースが切れてしまいました。これはいい交換時だった。
ホースは耐ガソリンの汎用を使用。1mで十分まにあった。
どっちがリザーブのホースかわからなくなるので、チョークで印をつけてから組みました。
燃料計も交換します。よく見えるようになった。
最終減速比を下げる。
フロントスプロケットはすでに14Tから15Tへ変更してありましたが、さらに下げて16Tへ。
まわりのスペースから見て、たぶんこれ以上大きくできないと思う。
チェーンの遊び調整スクリューがもう一杯いっぱいです。
これ以上は緩められない状態。
エンジンオイルを入れ、11時前、ようやく組み上がった。
ドキドキのエンジン始動です。
!!!! キックが空振りする !!!!
キックペダルの手応えがなく、スカッスカッと空振りするのです。
うん、こうなるのは二度目だ。
右クランクケースカバーの取付時にミスってる。
またオイルを抜き、右クランクケースカバーを外す。
このあたりのパーツを確認しつつ再度取り付け、再度組み直し。
パーツの順番、裏表がわからなくなってきて、サービマニュアルをじっと見る。
クラッチカムプレート、カムプレートサイドスプリング、クラッチボールリテーナーなどという名称のパーツたち。これらの組み方に問題がある。
あれ!
まだだめだ。キックに手応えがない。
ってことはクラッチ本体か?強化クラッチ取付時にミスったか?
またオイルを抜いて、今度はクラッチを取り外す。
いったんまたバラバラにしましたが……うーん、特におかしいところはないなあ。
非常な不安にかられつつ、元通りに組み立て直します。
どこが悪かったのかよくわからんのですが。
ただ唯一、右クランクケークカバーを取り付ける時、パコッとすんなり組めた。
なんというか、変な抵抗感がなかった。これなのか?
クラッチボールリテーナーとクラッチリフタープレート、という名のパーツ同士の組み合わせ方にコツがあるみたいだ。
キーを回さずにゆっくりキックをおろしてみると、こんどはしっかりした手応えがある。
上死点前での重たさがはっきり伝わってくる。
期待できるぞ……!
キックすること5回、エンジン始動!!!
やった!!!
やや排気音、吸気音が大きくなったのがわかる。
低音になったというか。
アイドリングが高かったので、アイドルストップスクリューを回して若干調整を加える。
そのまま30分ほどアイドリングのまま、工具の後片付けをやる。異常ない。
そして変速してみます。
問題ない。うまく変速できている。
うーん、何が悪くてキックが空振りしていたのか、よくわからない。
右クランクケースカバーを脱着するのは2度目なのですが、前回も同様キックが空振りし、組み直した。
今回の経験を経ても、まだよくわかってない。
右クランクケースカバーとシフト・キック周りは、このバイクの鬼門だなあ。
さらに30分、合計1時間ほどアイドリングを続け、いったんエンジンOFF。
昼飯を食べてから15分ほど軽く走ってみました。
はっきりとパワーアップしたのが伝わってくる反面、とてもスムーズで自然なエンジン。
知らなかったらノーマルのエンジンだと思うんじゃないか。
まだ慣らし中なのでバッとスロットルを開けたりしませんが、思った通り豊かな低速トルクです。とても走りやすい。
しかしキックが重くなったなあ。
50ccのときはすわったまま足の力だけで軽々とキックをおろせましたが、今は圧縮が上がったこともあり、立ち上がって体重をかけてええいっと踏み降ろさないとキックが動かない。
あとは朝一、冷間時のエンジン始動性がどうかですね。
リトルカブのエンジンをいじってみての感想。
シリンダーヘッドまわりのシンプルさには感動した。単純明快、必要最小限。
設計の良さを実感しました。
使われているボルトのサイズが少ないのもいい。8,10,12,14,17mmがあればいい。このあたり、BMWにも見習ってほしいな。
対してクラッチ、オイルポンプはかなり苦労しました。というよりプラスネジのビスを回すのに苦労した。
ロックナットレンチ、インパクトドライバーは必須の工具で、これがないと分解できません。
うちにあったインパクトドライバーは調子が悪くて使いづらく、買い替えが必要かな。
遠心クラッチの構造の複雑さは要注意です。パズルのように複雑な組み合わせで、バラすときに覚えるか、デジカメで撮るかしておかないと元へ戻せなくなる。
そして最後の最後、右クランクケースカバーの取り付けは正直難しい。
何が原因でキックが空振りしてしまうのか、未だによく分かっていません。
ほんのいくつかのパーツ、クラッチボールリテーナーあたりの合わせ具合によるらしいのです。
もしかすると、車体を左へ傾けながら、サイドスタンドで支えてやりながら取り付けるのがいいのかも。
改良の余地があるとすれば、紙のガスケットです。
全部のガスケットが強力に貼り付いて、パカっと外れてくるものはなかった。プライバーを使ってこじりながら外す必要があった。古いガスケットを剥がすのも面倒な作業です。
あとはキャブセッティングをしながら、慣らし運転ですね。
現在メインジェットは85番。プラグの熱価はノーマルなので、そのあたりも考える必要がある。
慣らしは大型バイクのように1000キロもするとしたら何年もかかってしまいますが、原付なので100キロくらいでいいらしいのです。それなら1,2回の遠出ですみそうです。