「この世界の片隅に」観てきました

事前に映画情報を入れずに観に行く、ってのが僕の方針なのですが、この作品に限ってめずらしく事前に予告編を見て「行ってみるか」となった作品。
それだけ予告編に「これは」と思えるものがあった。

素晴らしい映画でした!
もう、今年ベスト、と言えると思う。いや、もしかして過去全ての映画でベストかもしれない。
数日後になっても、じわっと感動が蘇って目頭が熱くなる。
感動を魂に刻み込まれたと言って過言じゃない。

今年の邦画は実に豊作でしたが、その中でもこれは飛び抜けている。
日本人なら全員見ろ、といいたい。

これだけ映画館で号泣したのは久しぶり……
ってか、嗚咽し始めた僕を見て嫁さんが心配し始めたほどです。
まー劇場をでる時恥ずかしかったこと。
正直いうと終わり10分くらい、画面がよく見えず、覚えてないw

泣いた、というと悲しい映画なのかと思いきや、最後は笑顔で終わる。
それがまたたまらんのですわ。
なんというか、色々な感情がわきあがってきて、それが涙という形で表出する。








作品全体を貫いているのは、細やかさ。精密なディテール。
男女の心情も、見知らぬ近所のおばさんの動きも、そして鳥や虫、干潟や山々などの自然、昭和の町並みも。
音響や航空機、軍艦など、どれをとっても細やかで繊細で、ディテール感に溢れていた。

まるでその時、その時代を生きていたかのように戦中の呉、広島の町に入っていける。
戦争中の呉の町へ引っ越し、一般市民の生活を経験し、空襲を経験するのです。
平穏な日常や、やり場のない怒りや、悲しみや、空腹を追体験する。
僕は祖父母から戦争中の様々な出来事をよく聞いていた記憶があるのですが、この映画を見て、祖父母の生きた時代と連続する時間軸に生きている、という実感が押し寄せた。

いったいなぜ、ここまで詳細緻密にこの時代を描けるんだろう?
原作者も監督も僕と年代は変わらないのになあ。

前半から中盤にかけて、ノスタルジックな昭和戦前の日本が描かれます。
戦前戦中の日本を描写する作品なんて、今まで山ほどあったのですが、間違いなくこの作品がベスト。
なぜだろう?実写作品よりもこのアニメのほうがリアリティあふれているのは。

そして後半、戦局が不利になるにつれて、暗い影が落ち始める。
唐突に、なんの警報もなく米軍艦載機が上空に現れる。
有名な、昭和20年3月19日の呉空襲です。三四三空の空中戦でよく知られている。

その後の展開は言いますまい……
劇場で見てくれとしか。
僕は孤児が主人公すずさんに寄り添ってくるシーンで、もう激しく号泣してしまい、その後の記憶がはっきりしない。エンドロールがまともに見れていない。
きっとまた見たら号泣してしまうので、二度目観に行くかどうかなやむなあ。




言うまでもなく僕はミリタリーファン、軍事マニアです。
その観点から見ても、これほど完璧なリアリティ、ディテールの映像作品は見たことがない。

今までは、アニメにおける航空機や船のディテール描写にかけては、宮﨑駿がまちがいなくトップだった。
でも、この作品は宮崎作品を越えている。下から見上げる飛行機、という点ではっきりと凌駕した。

サウンドのリアリティがすごい。
高射砲の射撃、航空機のエンジン音、爆弾の爆発、すごい臨場感でした。

航空機はF6F、F4U、B29、紫電改などが登場しますが、どれもひと目でそれと分かるリアリティで、飛行機の速度感、動きがいい。

ヘルキャットと紫電改が空中戦し、コルセアがロケット弾を撃ち、B29が通常爆弾や時限信管の爆弾を撒き散らし、焼夷弾をばらまき、機雷を散布する。それをじっと下から見上げているのです。

主人公の義父の、「2000馬力の発動機」というセリフには、自分の作ったエンジンを積んだ紫電改が戦ってくれている、という自負が込められていて、ニヤリとさせられた。

そして軍艦。
大和や隼鷹も出てきますが、特に主人公の幼馴染が乗る、重巡青葉がぐっとアップになる。幼馴染のセリフから、彼の乗艦はサボ島沖海戦以降だとわかる。
ちなみに、すごいと思ったことの一つに、劇中で「甲巡青葉」と呼ばれる点です。
また、「後ろに砲塔がないのが利根」という台詞が印象的です。(時期的に最上型も後ろの砲塔が撤去されてたから、もしかすると最上型かもしれませんね)


色付きのカラフルな高角砲弾の炸裂、バラバラと落ちてくる高角砲弾の破片、地面に突き刺さる焼夷弾、機銃掃射の弾着の激しさ、空襲を受けている側の描写のリアルさはものすごい。恐ろしく、美しい。かつてない映像体験。
これらのディテール描写の凄さは、知識が多ければ多いほど染み込んできます。


今年最大のヒット、「君の名は。」の人気は若年層が支えている感がありますが、こっちは中高年齢層のハートに刺さる。
その点、メガヒットは望めないかもしれないですが、アニメ映画の大傑作、ぜひ見てほしいですね。

もう一度観に行くかな……でもまた泣くな……
泣くのがわかってるから見に行きづらい、ってのは我ながら情けない。



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by punto1150 | 2016-11-16 20:13 | 日記 | Trackback | Comments(0)

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