登山の今昔 常識と気質のこと

今と昔の登山で変わったのは、装備だけではありません。
当時のスポーツ全体を占めていた常識や気質、みたいなものもかなり違っていました。

まず水分補給。
これは今とは180度ちがう考え方でした。

30年前は、「運動中は水分を取るな」だったんです。バテる原因は水の飲み過ぎと言われていた。
今こんなこと言ってる指導者がいたら、頭おかしいですよね。

でも僕は(今でもそうですが)水分を多く必要とする体質でした。
汗を多くかき、その分水を飲まないとすぐ脱水状態におちいる。
僕は生涯で3回、ひどい脱水状態になったことがあるんです。一回はバイクに乗ってる最中でしたが、あとは登山中。







その中でも重症なのが、丹沢大山縦走のとき、立ち上がれないほどの脱水状態になったこと。
意識もうろうとなり、荷物を持ってもらい、支えられながら山を降りてきた。
その時顧問の教師に言われたのが、「お前は水を飲み過ぎるからバテるんだ」

しかし事実は逆でした。
下山して宮ヶ瀬のバス停で缶ジュースをたちまち5,6本飲み干した。(当時はペットボトルはなかったですからね)
あっという間に元気になりました。この時僕は「顧問の言うことは信じるな」と決めた。運動に水は不可欠だ。

昔は水はポリタンクで運んでいたのですよ。
一人3~4リットルは持たされたかなあ。
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今はハイドレーションもあるし、たためる便利な容器もあるし、水が邪魔だってことはなくなりましたね。しかし、今も昔も水が一番重い荷物だってことは変わらない。
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変わらないといえば、今でも変わらない部分はあるかもしれませんが、部活動の中では下級生は理不尽な扱いを受けます。
トレーニングと称して先輩より多くの荷物を持たされるとかは当たり前で、たちの悪い学校だと石をキスリングの中に詰め込まれたりしたそうです。
僕のいた部活は人数が10人に満たない少数でしたので、石なんか持たされたら必要な物をもっていけないという事情もあり、そんなことはなかった。

でも一年生のときは水10リットル、生米、燃料の灯油、そして超重たいテントを持たされ、30kgに迫る荷物を背負って登っていたのです。当時の体重が60kgに満たなかったですから、体重の半分に近い重さを背負わされていたんですな。
今は絶対持てない重さですよ。そのせいで身長の伸びがピタッと止まり、170を超えて止まった。180前後の男の家族の中では一番背が低いんです。
進級して多少発言力が増すと、体力に応じた荷物の分散を主張し、ある程度認められました。それでも、一人平均20kgを割ることはありませんでしたねえ。
今時20kgも背負って山登ってたら、「いらないもの持ってるんじゃないの?」って思われますよね。




今時は山で死ぬのは大半老人ですが、当時は高校生や大学生が山の上で動けなくなり、死ぬことが多かった。
それは当然、上のような扱いを受けていたからなんでしょう。
高校を卒業して登山から遠ざかっていましたが、それはやっぱり部活で「登山の楽しさ」を教わらなかったからかな。
僕にとって登山はつらいものだったんです。


その後、車やバイクでの旅行が趣味となってからは、景色の良さを求めて高いところに登るようになった。とくに北海道利尻山に一人で登った時はとても楽しく(苦しく)、思い出深い。
そして一昨年あたりから、ポツポツ低い山に登り始め、去年本格的に再開しました。
いまではすっかり、晴れたら山に行きたくてウズウズするような山男になってしまったw
この歳になってわかるのは、少年時代は心身を鍛えることよりも、体を動かす楽しさを覚えるほうがいい。
プロを目指すとか、世界を目指すとかならまだしも、中学高校でスポーツをやることの意義は楽しむことにあると思いますね。


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Commented by Kachi at 2016-10-10 22:11 x
確かに昔は水を飲んだらバテるって言われていましたね。
私は関西でしたが、関東でもそうだったんですね。
いったい誰が言い出したんでしょう。
そういえば、昔やってたうさぎ跳びなんてのもいまは膝を傷めるってんですっかりなりを潜めましたね。
いまの若い子らはうさぎ跳びなんて知らないかも(;^_^A

Kachi//
Commented by punto1150 at 2016-10-11 20:09
Kachiさん
一体いつごろから「運動中は水を飲むな」って説があったんだろう?って思っていたのですが、昭和17年の日本の映画に「僕は水を飲まないから暑くても汗をかかないんだ」ってセリフがあったのです。

これは海軍軍人のセリフなので、少なくとも軍では水を飲むな、って常識があったようですね。おそらく当時の日本全般がそうだったんじゃないかな?

この理由はいろいろ説があるのですが、一つは当時は生水を飲むと腹を壊す、ってのもあるようです。
そして汗をかくから体に必要なエネルギーが一緒に出ていってしまう、という誤解もある。
また、水ばっかり飲むと塩分不足でかえって具合が悪くなる、ってことへの誤解もあったようですね。
by punto1150 | 2016-10-10 19:32 | 登山・ハイキング | Trackback | Comments(2)

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